ついに第3回定期演奏会の日時が決定いたしました!
第3回定期演奏会開催日時発表記念に、市原指揮者と第2回演奏会を振り返ってみたいと思います。
会場に足を運ばれた方も、行きそびれた方も、指揮者と共に演奏会の雰囲気を感じてみましょう。
この文章をご覧になっている皆様はじめまして。コスモスカイオーケストラで指揮を務めさせて頂いております、指揮者の市原と申します。 前置きが長くなりました。 本番を数日後に控えた週の半ば、週間天気予報では本番当日は雨でした。 横浜から燕尾服をハンガーにかけたままの形で手に持って電車を乗り継ぎ(これはかなり恥ずかしいです)、練馬駅で電車を降り、会場につくと、1階のロビーには既に大量のお客様が!まだ10時ですよ。開演まで9時間ありますよ。と思ったら小ホールの別の催し物の開場間近だったのでした。ガッカリするやらホッとするやら。 午前中はまるまる舞台のセッティングに費やしました。今回は1部、2部、3部でセッティングが違うので、場転に時間がかからないよう入念にチェックします。私はあまりやる事がなかったので、デジカメを手にロビーをうろついたり、スタッフの皆さんに挨拶をしたり、ロビコン(*2)の音響チェックをしたり、ひたすら写真を撮ったりしていました。外部の人から見たら完全に不審者です。 そんなこんなであっという間にお昼休憩を迎え、リハーサルになだれ込みます。ここからようやく私の出番ですね。
さて、この先は本番のレポートになりますが、演奏に関する評価は実際に聴いて下さったお客様がするものですので、演奏そのものの良否に関しては「あまり」触れない事にします。ブログなどで感想を書いて下さっている方もいらっしゃるようですので、ご覧になるのもよろしいかと思います。
先にお断りしておきますと、私は団員ではありません。そんな私に、オーケストラより本番のレポートを書いてほしいと依頼が舞い込み、書く事となってしまいました。コスモスカイオーケストラを形作っているのは個性豊かな団員の皆さんであり、指揮者の私ではありません。前面に出るべきではないという考えがありますので、二度お断りしました。が、三度依頼され、断るのも失礼かと引き受ける事に致しました。所謂、三顧の礼というやつですね。そんな要らぬ知識はどうでも良くて、そのような事情があって今回レポートをさせて頂くことになったわけです。文筆業を生業としているわけではありませんので至らぬ文章ではありますが、どうぞよろしくお願い致します。
天候という抗えない事情で客足に響くのは嫌だなぁと思っていたのですが、本番が近づくにつれ雨の確率が下がり、前日には雨の予報がなくなり、結果的に雨は降りませんでした。これも団員の皆様の日頃の行いが良かったからに違いありません。雨が降ったら降ったで「これは一年半前の再現だ!(*1)」と言うつもりだったんですけどね。
そうそう、リハーサルの直前に、オケの前で終身名誉副団長(*3)の感動的な演説がありました。これには奏者全員が涙を流し……てはいませんでした。「I can fly!!」とか叫んでいた気がします(*4)。違ったかな……?
リハーサルに関しては基本的に公開するものではありませんのでカットさせて下さい。
リハーサルもあっという間に終わり、いよいよ開場を待つ段階になりました。後から聞いた話では、開場前には既に300人程度のお客様が列を作っていたとか。本当にありがたいことです。
開場から5分くらいして、「ある物」を買い忘れていた事を思い出し、コンマスを連れて慌ててコンビニに走りました。無事「ある物」をゲットした帰り道、ふと思い立って本番会場の正面から乗り込んでみました。ちょっと様子を見て帰るつもりだったのですが、控え室への帰り方が分からなくなってしまい、少し本気で迷子になったのはいい思い出です。
私が控え室に帰りついた頃に丁度ロビコンが始まりました。これも後から聞いた話ですが、ロビコンは非常にたくさんの方が聞いて下さっていたのだそうです。
その間私はというと、控え室で第2部で使用するネクタイの形を作っていたのです。
いつものように本番15分前に燕尾服に着替え、いよいよ本番です。
【第1部/オーケストラステージ】
・Bland Logo~title back | FINAL FANTASY TACTICS
この曲は出だしの弦楽器の高音域もそうですし、その後入ってくるトライアングル、続けて出てくるグロッケンと、最初から極度の緊張を強いられます。これが一曲目ですから、相当なプレッシャーと戦っていたのではないかと思います。ちなみに、この曲で小さくなってトライアングルを叩いていたのは、2部で爆発するドラムのO関くんです。ご来場下さった方なら必ず記憶に残っていると思われる彼ですが、この時は別人ですね(笑)ですが、トライアングルの一音にも魂を籠めてくれました。
そして、グロッケンのI橋さんには、実はリハーサルの後でマレットの変更を指示していました。そんな事もあり、色々とプレッシャーが重なった結果、本番で叩いた記憶がほとんど無いそうです。人間の脳ってすごいですね。
この曲は楽譜が完成した時から終わり方が唐突で、初めて合わせた時に、
「え?これで終わりなの?」
と皆の頭の上に疑問符が浮かんでいたのを思い出します。ですが、そういう曲なのだから仕方が無い。お客様が拍手をためらうのも予想済みでしたので、それほど落ち込みませんでした。
さて、ここで司会が入ります。
この、今回司会を引き受けて下さった吉田さん。団長のツテで外部よりお呼びしたのですが、本当に素晴らしい方で、一声聞いただけで惚れ惚れとしてしまうくらいの、人を引き込まずにいられない美声と口調なのです。打ち上げもご一緒して下さったのですが、実にナイスガイでした。
この場を借りまして、改めて感謝いたします。ありがとうございました。
・戦う者~Case2~ | FINAL FANTASY VII
第1回定期演奏会で演奏した「Case1」の続編です。編曲者であるM林団長曰く三部作だそうですので、個人的に次回作にも期待しています。
タイトルが「闘う者たち」ではなく「戦う者」であるのは、意図があるとの事なので、間違っているわけではありません。
前作は通常戦闘曲の「闘う者たち」がベースになっていたのですが、今作はボス戦闘曲である「更に闘う者たち」がベースとなっています。
前半の、濃い霧が立ち込める幻想的でありながら不安を感じさせる雰囲気。ファゴットの気だるいような三連符とそれに絡むヴァイオリンの三連符。そして遠くから聞こえてくるファンファーレ。そこから突然戦闘の真っ只中に放り込まれるようなギャップを意識して音作りをしましたが、特に後半の鋭い金管楽器と雷鳴のようなティンパニの鬼気迫る演奏がまさに戦闘です。戦闘というより戦争ですね。
そして全奏でテンションがMAXになったところでフィナーレ。次に続くような和音で幕切れとなります。ホント、次回作が楽しみです。「闘う者たち」、「更に闘う者たち」ときたら、次はまさかセフィロス……とか……?合唱付き……?第3回定期演奏会にご期待下さい!と団長にプレッシャーをかけておきましょう!
・Sword of Mana | 聖剣伝説 ファイナルファンタジー外伝
ゲームボーイの3和音もこれだけ壮大な曲にアレンジできるという好例のように思います。
私はこのゲームをリアルタイムでプレイして、その後ロマサガ1~3もプレイしていますので、この頃のイトケン節の戦闘曲というと、オクターブで動くスラップベースと細かい動きのヴァイオリン、そしてトランペットの旋律という固定概念があったのですが、オーケストラアレンジするとこうなるのですね。
この曲は微妙なテンポ変化が多く、次のテンポを提示する事が容易ではない為、約束事が浸透しきるのに時間を要し、最後まで一抹の不安が消えない曲でした。
始めのRising Sunの弦楽器のピッチもなかなか合わず、あの美しい旋律を汚してはいけないと思った日々もありましたが、それだけに、練習を重ねて揃ってきたときの感慨もひとしおでした。シンプルかつ透明感のある旋律は素晴らしいです。
その後も曲調が目まぐるしく変わっていき、再度Rising Sunに回帰して静かに終わるという贅沢なメドレーです。
本番後の打ち上げで、「戦闘2」のテンポが練習の1.5倍くらい速かったと口々に言われたのですが、私としては初めからあれくらいの速度を想定していたので、全く問題ありません!
・ピアノ協奏曲「宿命」 | ドラマ「砂の器」
一番緊張したはずの曲。「はずの」というのは、リハーサルで原因が全て払拭されたから、本番ではそこまで緊張しませんでした。理由は内緒です。
コスモスカイの存在をお客様に提示する一番最初の曲、第1回定期演奏会のオープニングが「ドラゴンクエストV」の「序曲のマーチ」であったように、コスモスカイの演奏する実用音楽というものをお客様に提示する一番最初の曲となりました。
協奏曲はゲーム音楽の演奏ではなかなか体験できるものではありませんし、「宿命」はクラシック寄りの曲であるため、クラシックの経験者が多いとは言えない団体で演奏する事自体、果たして無事に完成するのだろうかという懸念がありました。
ところが、練習を進めるにつれ、それは杞憂に終わるのでした。なぜなら、ゲーム音楽でもドラマの音楽でも、良いものは良いのです。この意見を否定できる人はいないと思います。
正直、ゲーム音楽しか興味が無い団員もきっといたと思います。特設サイトの対談でも話題に上がっていましたが、そもそもコスモスカイはゲーム音楽だけをやるオケなんだと思っていた団員すらいたくらいですから。
クラシックでもそうなのですが、曲を演奏するなら、その曲の背景は知っておくべきで、ゲーム音楽をやるなら「ゲームをプレイする」。プレイする余裕がなければ「粗筋を知っておく」、「曲が使われる場面を知っておく」などはやっておくべきだと思うのです。
本番の2ヶ月くらい前、M林団長とファゴットのS森くんが、「砂の器」をレンタルして最終話だけ見たと教えてくれました。曲に対する考え方がまるで変わったので、これは見るべきだと。そこで、私はどうせならと第1話から全て見たのです。
その結果……これは見なければいけない。そう思い、どうかドラマ「砂の器」を見てほしいと団員の皆さんにお願いしました。
最終的に8割くらいの方は見てくれたようで、見た人が増えるたびに出来も良くなり、緊張感も上がっていくのです。これは実に不思議な体験でした。
やはり実用音楽だけあって、明確な意図の下で作られていますから、そのイメージをドラマによって共有できるというのは非常に助かります。
そして、今回は紆余曲折あった結果、団長がソリストを務めたわけですが、それもまた良い方向に転がりました。合わせたい時に合わせる事ができますし、お互い言いたい事を気軽に言い合えるのです。恐らく、プロのピアニストを呼んで数回の合わせを行うのみでは、もしかすると失敗していたのではないかと思います。
オケでコンチェルト(*4)を演奏した事がある団員は数えるほどしかいませんでしたし、何を隠そう、私自身も演奏で参加した事はあれど、コンチェルトを指揮するのは今回が初めての挑戦だったのです。今後コンチェルトを振る予定もありますので、とても良い勉強になりました。
最後の最後でちょっとした事故が発生したのですが、起きてしまった事、終わった事を言っても仕方がありません。全体から見れば些細な出来事だと思っています。
ここで第1部は終了。15分間の休憩を挟んで第2部、ライブステージへ。
【第2部/ライブステージ】
第2部はガラリと雰囲気を変え、ラフなスタイルで突き進みます。
衣装も、奏者はフォーマルからカジュアルへ。
今回の演奏会のコンセプトの一つに「オシャレ」というキーワードがありました。そのオシャレを分かりやすく体現しているのがライブステージではないかと思っています。衣装だけではなく、曲も演出も。
私はというと、燕尾服を着替え、黒ズボン黒シャツにネクタイ。また、これは別にオシャレを意識したわけではなくて単なる演出なのですが、曲ごとにネクタイを変えました。袖に引っ込むたびにステマネ(*5)さんにネクタイを変えてもらっていたのです。6本くらい使ったでしょうか。アンケートを後日見たら、結構気づいてくれた方がいたみたいで良かったです。本番前週の飲みの席でネクタイ選定をお手伝い下さったY本さんありがとうございました。コーディネートセンスとか無いものですから助かりました。
・HERO -Main Title- | ドラマ「HERO」
(ネクタイ:緑地の黒ストライプ)
さあ、いらない情報が出てきました。ライブステージですから、少しラフに行きましょう。
MCのMr.吉田の名口調が終わるや否や指揮棒一閃、舞台が明転して第2部が始まります。当日の進行表に「HERO、気合の籠もった棒で始まる」と書いてあったので、仕方が無いからやりました。
Mr.吉田はMr.吉田で、リハーサルでは「Welcome to the Di*ney S*a!!」とか言ってましたからね。団員一同笑ってリハーサルができませんでした。クラシックですと通常司会なんてありませんから、まさかオーケストラの本番で司会があってよかったと思える日がくるとは思ってもみませんでした。
第2部の主役はリズム隊であるドラムとベースです。むしろドラムが指揮者であるというくらいの気持ちで指揮台に上がっていました。ドラムと心中です。ドラムずれたら皆ずれる。
第2部ではオーケストラのド真ん中にドラムを配置していました。その為、お気づきの方もいらっしゃったかと思いますが、ドラムの周りを囲むようにアクリル板が設置され、音が直接前に飛ばないようにしてありました。本番の演奏だけ聴いた方にとっては効果が実感できるものではないと思いますが、私はリハーサルでその効果を十二分に実感し、これが無ければ心中どころではなかったと、アクリル板の効果に感謝感激です。途中から、もうアクリル板が指揮者でもいいのではないかと思っていました。終演後に家まで持って帰って酒でも振舞って労をねぎらいたかったのですが、レンタル品で返却しなければいけないと言われたので涙を飲んで諦めました。
・キャラバンの到着 | 映画「ロシュフォールの恋人たち」
(ネクタイ:オレンジ地の黒ストライプ→ドラムソロ後:コスモスカイブルー)
この曲では曲中にネクタイを変えるという新境地にチャレンジしてみました。恐らくオーケストラの指揮者としては世界初なのではないでしょうか!?どうでもいいことですね。
そのネクタイを変えるタイミングですが、見に来て下さった皆様が必ずや記憶に残っているであろうドラムの長尺ソロの部分です。指揮台にいては邪魔なので、袖に引っ込んだ時にチェンジ。
そのドラムソロを見事に叩ききったのが、第1部で別人のようにトライアングルを叩いていたO関くんです。彼のドラムソロは長さもスタイルも全く決まっておらず、練習のたびに全く違うソロが聞けるので、練習の一つの楽しみでもありました。本番のソロも、本番で初めて聞いたパターンでした。どこからあんなフィーリングが生まれてくるのでしょうね。見習いたいところです。
そしてこの曲ではSax.が大活躍。通常、オーケストラにはSax.は常備されていませんが、コスモスカイでは多くの曲にSax.の出番が用意されています。4種類のSax.がありましたが、皆さんお分かりになりましたでしょうか。
・グランディアのテーマ | グランディア
(ネクタイ:鯨と月の絵柄)
ここまでで実用音楽は終わり、ゲーム音楽に戻ります。
この曲は練習期間が戦う者と並ぶ曲で、形になるのも早く、2008年10月に行われた身内演奏会でもいち早く披露されました。
途中にコンマスソロがあって、なかなか思うような演奏ができずに苦労しているコンマスのH本さんを長い事見ていたのですが、3月の練習の時にある事が起こります。
本来はピアノ+コンマスソロなのですが、その日はたまたまピアノのM林団長が野暮用で練習室から出なければいけない事態になり、コンマスが本当に一人でソロを弾いたのです。すると、それはもう素晴らしいソロではないですか。音程は外さない、音の伸びはいい、ヴィブラートのかかり方も申し分ない、表現もグッド。なんだこんな演奏できるんじゃないか!と感動したのを覚えています。これが本番で出れば万事オーケーだと思っていたのですが、皆さまいかがだったでしょうか?
ところで、この曲でしていたネクタイが、後から数人に「あの富士山なに?(笑)」と言われてショックでした。遠くから見ると富士山っぽかったらしいです。アンケートにも「富士山」と書かれてた気がします……。くっ……。
・サガフロンティアメドレー | サガフロンティア
(ネクタイ:青地にサキソフォン柄)
コントラバス軍団が大暴れした曲。それは後ほど説明します。
メドレーの一曲目なのですが、目を閉じて聴いていると目頭が熱くなってしまうくらい美しく、そして切なげでありながら前向きな素晴らしい曲なのです。私はサガフロは未プレイなので知らなかったのですが、聞けばなんと、ゲームが始まる前のデータ準備画面の曲なんだそうで、大層驚きました。データ準備だけの為にこんないい曲を使うのか!?と。さすがイトケン。恐るべし。
途中「碧い街」を挟んで一度休息はするものの、1曲目が終わった後はとにかくアツいアツい。演奏する側も聴く側も最もテンションが上がった曲ではないでしょうか。
そんな中、その大きさから普段は鈍重なイメージすらあるコントラバスが猛然と暴れまわってくれました。
ライブステージではコントラバスが2人ずつに分かれて上手と下手(*6)に配置されていたのですが、バトル4、バトル5では弓を使って上手と下手でバトルを繰り広げていました。かと思えばノリノリで楽器を左右に振ったり、まさかのEXILEを披露したりと見ているだけでも楽しめたのではないでしょうか。
ここだけの話ですが、それが初めて披露されたのは当日のステリハでした……。
この曲の途中に「バカラ」という曲があるのですが、私が好きな系統のダンスミュージックで、聴いていてあまりに楽しかったので、練習の時にとある提案をしたのです。
「みんな……ざわざわしよう……!」
そんな無茶な一言から始まり、ざわざわTimeと名づけられた区間、試行錯誤の末、演奏しない奏者が周りの人と雑談をしたり、トランプで遊んだり、楽器を回してみたりと本当に自由にしていいという演出に相成りました。
私だけ前で棒を振っているのも疎外感がありますし、バカラは基本的にドラム&ベース+ソロ回しなので演奏する人数自体が非常に少ない事もあって、指揮がなくても充分成り立つ場面なのです。そこで私も何かやろうという事になり、1stVn.の1プルト(*7)目の二人と一緒に遊ぶ事にしました。
一体何をやったのか。
コンマスとウィスキーを飲みました。
ポケットサイズのウィスキーの瓶ですね。オーケストラの本番の途中でコンマスと指揮者がウィスキーを飲むなんて恐らくこれも世界初に違いないでしょう。
リハーサルで、うっかりウィスキーを用意するのを忘れていた事に気づき、ステリハ終了後にあわててコンマスと近くのコンビニに走ったのです。前述の「ある物」がこれです。
とはいえ、それが本当に「ウィスキー」だったのか、それともMr.吉田が演奏後にアナウンスしたように中身を入れ替えた「烏龍茶」だったのか、それは秘密にしておく事にします。
・ライブ・ア・ライブメドレー | ライブ・ア・ライブ
この曲、まず最初に謝らねばなりません。内部の話で申し訳ないのですが、曲終了後、途中西部編のソロを見事吹ききった、チョッテのT皓さんを紹介し忘れたのです。どうしてあの人紹介されないんだろう。失敗でもしたのかな?と思った方、そんな事はありません。私がド忘れしてしまっただけです。この場を借りて紹介させていただきます。
ライブ・ア・ライブは私自身、思い入れがある曲で、練習していて色々な思い出が蘇って来て楽しかったですね。
未来編の「星屑のキャプテン」なんかは結構大胆にアレンジされていましたが、いかがでしたでしょうか。
メドレーは幕末編と中世編以外(何故その2編が入っていないのかは不明。後で編曲のM林団長に聞いてみます)の曲で構成されていて、基本的に1曲ずつなのですが、近未来編だけは「Wait for truth」「PSYCHOで夜露死苦」の2曲がセレクトされていました。
「Wait for truth」はライブ・ア・ライブをやる事になったときから、入れてほしい!と思っていた曲なので、初めてオケで演奏したときはもうそれだけで満足してしまいそうになりました。
今回のメドレーのリストには「GO!GO!ブリキ大王!!」と「メガロマニア」が入っていなかったのです。パンフレットでそれを見てガッカリされたお客様もいらっしゃった事でしょう。ライブ・ア・ライブをやりながらこの曲が入ってないなんて!と。ですが、そこはゲーム大好き楽団。ツボは押さえます。
メドレーが全て終わって、お客様より拍手をいただき、私もステージ袖に下がって第2部完と思わせて……突然始まるドラムのカウント。これは一体なんなんだ。イントロだけでは何の曲だか分からないようになっています。そしてイントロが終わってあの有名なフレーズが。
第2部のシークレットピースは「メガロマニア」でした。「GO!GO!ブリキ大王!!」は曲調がメドレーにあまりにも合わないという事で入りませんでした。いつかできたらいいですね。
「メガロマニア」は編曲がイケイケで、金管がはしゃぎまわってましたね。打楽器と金管の嵐で木管がほとんど聞こえていませんでしたが、それは覚悟のうえなのでご容赦ください。
アンケートでも、「メガロマニア」が嬉しい不意打ちだったという意見が多くて嬉しかったですね。やってよかったと思います。
そんなこんなで第2部完。15分間の休憩を挟んでいよいよ最終ステージ、第3部に入ります。
【第3部/オペラステージ】
・オペラ「マリアとドラクゥ」 | FINAL FANTASY VI
いよいよ最後のステージです。
今回の第2回定期演奏会は、全てがこの曲、「マリアとドラクゥ」から始まったと言っても過言ではなく、この曲ありきで進んできました。この曲を演奏したい!という気持ちが原動力だったと言えるでしょう。
練習に費やした時間も他と比べて飛びぬけていますし、プロの世界でご活躍されているオペラ歌手を3人も起用して合わせるという、未知の体験であり、新たなるチャレンジでもありました。
なにより記憶に残っているのは、初めて合わせたとき、初見状態でグダグダでとても人様に聞かせられるような状態ではなかったにも関わらず、鳥肌が立ったのです。曲そのものの素晴らしさ、そしてゲームの思い出を鮮烈に思いださせてくれるメロディーの数々。
通し終わったときに、オケ全体から「おお~~~!!」という声があがったのを覚えています。
さらにこの曲、演奏したい!と全員が思うだけのいくつかの条件、
・スクウェアエニックスに帰属されている正式な譜面を借り、きちんと許諾を得た上でなければ演奏が難しい曲である。
・今までプロのステージで数度しか演奏された事がなく、公式譜を使用した演奏としてはアマチュアオーケストラでは初演である。
・恐らく一生のうちにもう一度演奏する事はないであろうという事。
が重なり、生半可な気持ちで取り組んではいけないと、団員一同必死になって、そして毎回の練習を楽しみながら作り上げてきた大曲です。
自分達で編曲した自前の曲であれば、やろうと思えばまたできるのです。ですが、この曲だけは、今回譜面をレンタルできた事自体が奇跡のような出来事でしたから、音楽は常に一期一会のものではありますが、正真正銘の一期一会。二度と演奏が出来ない可能性が非常に高いのです。本番で演奏を始めたら20分もしないうちに永遠にお別れをしなければいけない曲なのです。
それだけにオケの気合の入りようは半端ではなかったです。コスモスカイで指揮をし始めて2年経ちますが、こんなコスモスカイは初めて見ました(笑)
金管主体のファンファーレから始まるこの曲。最初の一音を出す為に気合を入れて棒を振り下ろします。そうして出てきた音を聞いて、これはいけると確信しました。不思議な事ですが、指揮をしていると、そういう瞬間が本当に稀にですが、確かにあります。
ファンファーレが終わると、弦楽器の麗しいアンサンブル。ここのテンポの変わり目でどうしても弦楽器のアンサンブルが崩れ気味だったのですが、本番は今までのは何だったんだと問い正したいくらい合いました。そういうのは練習からやってほしいです。
今回の本番は、スタミナの事を考えて、管楽器にも正規団員以外にエキストラ(*9)さんをお呼びしていたのですが、この曲だけは倍管(*10)で望みました。
その効果もあり、途中の勇ましいマーチの箇所では金管の重々しさが出たのではないかと思います。
と、その他にも思うところはたくさんあるのですが、この曲に関しては、個人的にも想いが強すぎて、曲そのもののレポートは放棄させてもらってよろしいでしょうか。どうしても主観が相当量入ってしまうので、まともなレポートにはならないと思います。指揮者としてではなく、一人の人間として全部ひっくるめて褒めて褒めて褒めちぎってしまう。それくらい良かったと思います。
【ENCOLE/アンコール】
盛大な拍手にお応えいたしまして、アンコール、もちろんあります。
・クロノ・トリガー | クロノ・トリガー
ここでまさかのクロノです。予想外でしたか?第1回定期で演奏したクロノメドレーの冒頭部分だけカットして再利用しました。
短いし、やった事があるし、スクウェアエニックス繋がりだし、三拍子揃ったナイスな曲でした。
この曲が良かった、聞けて嬉しかったとアンケートに書いてくださった方も多数いらっしゃって、クロノの人気を改めて思い知りました。
クロノが終わり、皆さん本当にお疲れ様でした。最後までご清聴いただき、本当にありがとうございましたとカーテンコール。
オペラのソリストさんも舞台に出てきてご挨拶です。劇中では敵役だったドラクゥとラルスが握手!するかと思いきや……握手なんかできるかよ!と相手の手を払いのける両者。(ガッチリと友情のハイタッチに見えた方も多かったみたいですが(笑)
そしてオケが曲の暗雲漂う箇所から演奏を始め……。
【DOUBLE ENCOLE/ダブル・アンコール】
・オペラ「マリアとドラクゥ」 | FINAL FANTASY VI
アンコール2曲目です。まさかのクロノに続いてまさかの再演。本当にこれでこの曲とはお別れです。そして第2回定期演奏会もお別れになります。
曲の途中で感極まって泣いてた人、いましたね。それくらい思い入れのある曲になったと思います。それが少しでも聞いてくださったお客様に伝われば嬉しい限りです。
まだ第2回目という若く未熟なオケの音楽を、1度目は1,500人の満員御礼。そして今回も1,000人を超えるという、本当に多くのお客様が聴きに来てくださるというだけでも、これ以上ないくらい幸せな事だと思っていますが、ダブル・アンコールの最後。オケが総奏で最後の一音に向かってクレッシェンドをしている最中。なんと背後から大きな拍手が聞こえてくるではないですか。これはもう本当に嬉しくて、鳥肌が立って、私自身、指揮台の上で涙を流しそうになるくらいでした。今これを書いているときに思い出しても鳥肌が立ちます。
当日来て下さった方々に、コスモスカイの存在を、音楽を認めて頂けた。そして何より楽しんで頂けたのではないか。私の勝手な思い込みではありますが、そう思うと本当に、本当に嬉しくてなりません。
コスモスカイオーケストラは、少しでも多くの方に、ゲーム音楽を中心に据えた実用音楽というジャンルを通して、音楽の素晴らしさ、楽しさを知ってほしい、世の中に数え切れないほどある素敵な曲を知ってもらいたいという、ともすれば押し付けがましいとも思える目標を持っていますが、聴きにきてくださればそれが分かる、そんなステージを毎回提供できれば最高だと思っています。そして演奏する側も毎回最高に楽しく本番を迎えたい。そんな欲張りですが素晴らしい心意気を持って活動しています。
なんて、そんな堅苦しい事は抜きにして、とにかく楽しかった!と言っていただけるのが一番嬉しいのです。
第3回も最高のパフォーマンスをお見せできるよう、団員一同ますます努力してまいりますので、時間の都合、場所の都合、興味、冷やかし、動機はなんでも結構ですので、是非是非ご来場ください。
以上を持ちまして、第2回定期演奏会のレポートとさせていただきたいと思います。
長文、乱文に最後までお付き合いくださいまして、真にありがとうございました。
*1)一年半前の第1回定期演奏会は当日の天気が雨だった。
*2)ロビーコンサート。開演前にロビーで小規模アンサンブルが行われた。
*3)団長と共に二人でコスモスカイを立ち上げた功労者。
*4) 当時流行っていた「Yes, We can!!」が正解。
*5)=協奏曲
*6)ステージマネージャー。演奏会の進行を全て取り仕切る重要な仕事。
*7) 上手=客席から見てステージ右側。下手=客席から見てステージ左側。
*8) ヴァイオリンの2人一組の単位。
*9) 正規団員以外で本番に出演する奏者。
*10) 管楽器を指定された倍の人数用意する事。
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